第十四話 孤児
レクシーがまだ幼い頃、小児病棟に働く女性に聞いた話だ
その女性も別の誰かから聞いた話で憶測も混じる
今から20年ほど前、ガレマール帝国軍の侵攻により
祖国を奪られた多くの者達がウルダハやグリダニアに流れて来た
レクシーの実の母も難民としてウルダハに辿り着いたのだ
難民施設に収容されるも食料は乏しく若い彼女は働き口を求めた
支援団体より紹介された裏通りの酒場で働き始める事になる
しばらくして客で来ていた同郷のミコッテ族の男性と仲良くなった
男性は傭兵として雇われ戦場へ向うが消息は不明という
レクシーの母は男性の子を身籠っていた事が後になって解った
しかし決まった住まいもない母は子育てができる環境がない
支援団体の協力で一時的に孤児院に与って貰う事になる
その施設は王宮の御殿医を育成する為の医療学校で
医学部や薬学部もあり錬金術も有名であるフロンデール薬学院
その付属病院の小児病棟が孤児院としても機能していた
現在の小児病棟の
黒髪の医師ダミエリオー理事長である
彼の母は元理事長のエオランデ、父は元院長のフォスティジャン
どちらも第七霊災で亡くなっている
黒髪の女性は、アルディシア・ソーン
ここのスタッフとして働いているが彼女はソーン家のご令嬢
ウル王朝から300年ほど前のソーン朝の王家の子孫である
プリンセスデーの飾りにはその頃の様式が残っている
第七霊災の折りから、レクシーの実の母も消息不明である